種子島の夜がさみしくなる

好きな店だった。夕方5時になるとトン太郎と黄色く染め抜いた暖簾がかけられた。真夏でもおかまいなく分厚い木綿の暖簾だったので、「暑苦しいな」などと大将に言ったものだ。すると大将はきまって、にこっと笑って「あれしかないよ」と応えた。店の中から薄青い灯りが漏れるように道を照らす。玄関脇のアコウの木が、ここが南国であることを教えてくれる。

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思い出という命

NHKBSで「コズミック フロント」という番組を見た。「カーボンプラネット 炭素と地球 知られざる物語」と題し、地球は巨大な炭素循環によって成り立っていることが分かってきたという内容だった。
地球の生命誕生の起源を探ると、炭素という原子にたどり着くそうだ。極低温の液体、地球の場合は水、の中で炭素が複雑な化学反応を起こし、生命が生まれたと。

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馬毛島遠望

「私はもうよそ者ですから……」
原田誠一さん(55歳・仮名)は力のない笑いを浮かべた。自嘲気味というのがいいかもしれない。
実際に馬毛島(まげじま)に住んでいた人を、鹿児島市内でようやく見つけたのが彼だった。彼は昭和41(1966)年馬毛島で生まれ、昭和55(1980)年4月21日の全島引き上げまでの14年間をそこで過ごした。

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大きな木はいいなあ

大きな木はいいなあ。どんなことがあっても動じない。どっしりと根を張り、悠然とそこにある。時には日差しから、時には風から、嵐から、人を守ってくれる。ガジュマルは風守る、だからそんな名前がついた。ガジュマルだけじゃない。木はずっと、森はずっと、地球を守り人に寄り添い続けてきた。

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遥かなる屋久島

枕崎を歩いてきた。
枕崎でいちばん海に近い台場公園。ここからの太平洋の眺めが好きで、時間ができると海を見ながらぼうっとする。晴れた日には開聞岳はもちろん、遠く日本本土最南端の佐多岬、さらには三島の島々がきれいに見えるんだ。時間がゆっくり流れているようで、とても心地いい。
今日も最高のお天気だった。雲ひとつない青空だ。駐車場に車を駐めてようとした時、ちらっと海が見えた。
「おや?」

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小さなbakery

看板通り「工房」というのが正しいのだろう。jr 霧島神宮駅前の、小さな通りに面した小さな店構え。もともとカウンターだけの居酒屋かバーだったのだろう。カウンターをそのまま販売台にして、カウンターの向こうを工房にして。何もかもが小さいのだ。
自宅のキッチンをそのまま持ってきた感じの設いは、最近あちこちで見かけるおしゃれなベーカリーとはひと味もふた味も違う。

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