馬毛島遠望

「私はもうよそ者ですから……」
原田誠一さん(55歳・仮名)は力のない笑いを浮かべた。自嘲気味というのがいいかもしれない。
実際に馬毛島(まげじま)に住んでいた人を、鹿児島市内でようやく見つけたのが彼だった。彼は昭和41(1966)年馬毛島で生まれ、昭和55(1980)年4月21日の全島引き上げまでの14年間をそこで過ごした。

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大きな木はいいなあ

大きな木はいいなあ。どんなことがあっても動じない。どっしりと根を張り、悠然とそこにある。時には日差しから、時には風から、嵐から、人を守ってくれる。ガジュマルは風守る、だからそんな名前がついた。ガジュマルだけじゃない。木はずっと、森はずっと、地球を守り人に寄り添い続けてきた。

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バランスのいい人生

酒をやめたわけではないが、もうふた月ほど特別な日をのぞいて飲んでいない。当然のことだが、晩飯にあてる時間が短くなる。というより、うどんとかパスタ、時にはおにぎりやパンなどで簡単にすませるようになった。朝や昼にそれを補うような食事を摂るわけでもない。当たり前のように栄養不足になる。

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遥かなる屋久島

枕崎を歩いてきた。
枕崎でいちばん海に近い台場公園。ここからの太平洋の眺めが好きで、時間ができると海を見ながらぼうっとする。晴れた日には開聞岳はもちろん、遠く日本本土最南端の佐多岬、さらには三島の島々がきれいに見えるんだ。時間がゆっくり流れているようで、とても心地いい。
今日も最高のお天気だった。雲ひとつない青空だ。駐車場に車を駐めてようとした時、ちらっと海が見えた。
「おや?」

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小さなbakery

看板通り「工房」というのが正しいのだろう。jr 霧島神宮駅前の、小さな通りに面した小さな店構え。もともとカウンターだけの居酒屋かバーだったのだろう。カウンターをそのまま販売台にして、カウンターの向こうを工房にして。何もかもが小さいのだ。
自宅のキッチンをそのまま持ってきた感じの設いは、最近あちこちで見かけるおしゃれなベーカリーとはひと味もふた味も違う。

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