がんかて笑うて死ねるんや

末期の肺がんだった父清水良一はモルヒネを拒否した。最後までベッドの周りにいる家族、近しい人の顔を見ながら死にたいと。
「眠らされたまま、知らんうちに死ぬのは嫌や。がんかて笑うて死ねるんや」
と。かなり苦しかったと思うが、父はほぼ言葉通りに笑って逝った。亡くなる直前、確かに父は笑っていた。