京橋丸徳@JR京橋駅前, 大阪市都島区
サンクチュアリどころの話ではない。酔っ払い解放区、酔っ払い天国……、どういう言葉を使ってもその破壊力を表現するには物足りない。なんせ朝8時から開いているというからその凄さがわかるだろう。確かに昔は24時間操業3交替勤務などという仕事も多く、夜勤明けに一杯ひっかけて家路につくというのおっちゃん、おばちゃんたちのために早朝から、あるいは24時間開いている店もあちこちにあるにはあったが……。

ぱっと見いかついおっちゃんたちが並ぶ
ここはJR京橋駅前丸徳だ。迷路のような路地を彷徨い歩きようやくたどり着いた。昼過ぎに入ったのだが、カウンターはもちろんテーブル席でもほろ酔いの、いやベロンベロンのおっちゃんおばちゃんたちが。この人たちは、明らかに仕事明けではない。昼から、いや、朝から飲んでいるのだ。仕事をリタイアしたシルバー世代だけではない。若い人も多い。老いも若きも朝からいい気分なのだ。文字通りサンクチュアリなのだ。

とりあえず定番スジ煮込みから
「プロの飲み手」「プロの酒呑み」という言葉がある(本当か!?)。少なくとも僕はそういう玄人の飲み手がいると思っている。グルメを気取ったり、酒の蘊蓄をたれたりするような自分が主役の酔客ではない。フラッとひとりで入ってきて、ちょこっとつまんでさっと飲んで、スッと出ていく、しかし毎日来るみたいな常連客を思い描いているのだ。酔客というか粋客、粋な客だな。丸徳はそんな客が似合う大衆酒場だ。一歩店内に入ると、まさにプロかと思えるような客が集っている。

カツオの塩タタキ
丸徳に限らず大阪には朝から飲める店が多い。というか普通だ。営業時間が長いので当然酔客の滞在時間は長くなる。だからそんな店は『どなた様も2時間以内でお願い致します』という類の張り紙が大きく掲げられている。しかしほとんどの客が普通に2時間以内に引き上げていく。時間が過ぎたなどと急かされる客はいない。2時間という時間が短いのか長いのかそれはわからないが、誰もが酒と時間を楽しみ満足して席を立っていくように見えた。1杯だけサッとひっかけて出ていく客ももちろんいる。

イブリガッコとクリームチーズ
心ゆくまで楽しめる理由は他にもある。何もかもが安いのだ。写真を見てほしい。1000円を超えるものなどほとんどないのだ。しかもうまい! 楽しめないはずはないのだ。僕たちは躊躇なく焼酎とスジ煮込みからはじめる。鰹の塩たたきなどというのもいい。イブリガッコとクリームチーズなどというのもある。さらには土瓶蒸しだ。ここの土瓶蒸しを口にすれば、高級料理店で高い金を払わなくてもいいなという気分になれる。

松茸どびん蒸し。最も高いが1500円だ(税別)
肴の種類も豊富だし、ボリュームも言うことなし。胃袋もしっかり満たしてくれ、財布には優しい。僕にとっては大阪に出張に来ると、行きか帰りかに必ず寄る必須の店だ。

ナスの煮浸し

〆は冷や素麺

貼り出された肴はどれも幸せな価格だ
京橋丸徳
大阪市都島区東野田町3-5-18
水曜日定休
TEL:06-6353-3878
営業時間、価格等は直接ご確認ください