小さなバーを侮ってはいけない

CHOTT WARAKU@SUINA室町, 京都市下京区

今さらながらだが、このサンクチュアリは世に言う名店を取り上げているわけではない。清水自身が気軽にくつろげて気に入った店を紹介している。人からすれば「なんだこんな店」と言いたくなるような店であっても清水にとってはサンクチュアリなのだ。だから「清水哲男のサンクチュアリ」なのだ。お間違いなきよう。
ところで僕は本は本屋で買う主義だ。そのわけはまた別の機会に譲るが、余程のことがない限りネットショップでは買わない。街中の本屋に出かけて、たっぷり時間をかけて選び買うのが楽しいのだ。読書の第一の楽しみだ。第二の楽しみは、昼飲みができるような酒場に飛び込み買い込んだ本をひろげることだ。

席数は少ないしとても明るい。ほんとうに小さなバーだ

そんな僕にとって理想的なバーがある。京都市のど真ん中、四条烏丸京都経済センターのSUINA室町1階大垣書店の中にある小さなバーCHOTTO WARAKU(チョットワラク)だ。どれくらい小さいかというと、カウンター椅子席が8席と2、3人分の立ち飲みスペースがあるだけだ。それにバーらしくなくとても明るい。
しかし侮ってはいけない。ビール、ウイスキー、ワイン、シャンパン、カクテルなど酒類は充実している。シャンパンもモ・エ・シャンドン(15000円)、ヴーヴ・クリコ(18000円)、ペリエ・ジュエ(ベルエポック/60000円)、アルマンド(ゴールド/100000円)などがボトルで楽しめるし、日本でしか市販が許されていないウイスキー、ロイヤル・ハウスホールド(Royal Household/シングル5000円, ダブル8000円)も楽しめる。しかし僕はワイングラスに溢れんばかりに注がれた入れすぎ赤ワイン(1100円)を口から迎えに行ってゆっくり飲るのが好きだ。


つまみの類もいろいろあって充実している。ナッツ類(各400円)、ドライフルーツ類(各400円)にポップコーン(400円)、からあげ、だし巻き、えだまめ、ポテトサラダ、京都ぽーく厚切りハム(各400円)、骨付きソーセージ(500円)、ハツ炭火焼き(600円)など、サッと飲むにはちょうどいい感じだ。食事もできる。薬膳カレー(1500円・ドリンク付)が人気だ。
様々な人たちが様々な使い方で楽しんでいる光景は、ロンドンのパブやスタンドバーを彷彿とさせる。ある日の様子をあげておくと、昼過ぎにやってきてスパークリングワインでスタートする女性二人連れ。その横ではプロの飲み手といった雰囲気の紳士がマティーニをロックで。若い男性二人は角のハイボールを。外国人男性は薬膳カレーでビールを。かといってコーヒーだけで帰っていく人もいる。ちなみに僕らは入れすぎ赤ワインにポテトサラダ、京都ぽーく厚切りハム、ポップコーンを選んだ。ところでポップコーンは量が多いので酒とつまみのバランスを考えるとつもり以上に飲んでしまうことになる。

通常の2倍近く入っているだろうか。入れすぎ赤ワイン

定番中の定番ポテトサラダ

京都のブランドポーク「京都ぽーく」の厚切りハム

小さいスペースなので客同士の距離が近い。隣同士の会話がカウンター全体にひろがり一体感に包まれていく。映画の話、本の話、音楽の話、そして恋の話。様々な人が集まるので当然話題は多様になる。声高に自己主張するような客はいない。
京都の街のど真ん中。大型書店の片隅。喧騒の中にあるはずなのに、会話は弾んでいるはずなのに、不思議に静かなのだ。それは多分オーナーの吉崎丈和さんやスタッフが、その人柄と酒の力でうまくコントロールしているに違いない。僕らはただ身を委ねるだけで楽しく幸せに酔えるのだ。

とんでもない量のポップコーン

チケット(回数券)はコーヒーだけではなく酒類もある

CHOTTO WARAKU
京都府京都市下京区函谷鉾町78 SUINA室町 1F大垣書店内
営業時間 13:00〜22:00(L.O21:30)※火曜定休
電話 075-353-9669

営業時間、価格などは変動することがあります。詳細は直接おたずねください

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