太っ腹!大旦那!

大旦那天満本店@天神橋筋五丁目, 大阪市北区

JR天満駅から徒歩3分。平日でも人通りの多い天神橋筋商店街を細い路地に切れ込んだところに目指す大旦那天満本店はある。間口いっぱいに暖簾がかけられビールケースが堆く積み上げられた風景は、まさに昭和大衆酒場のそれと言っていいだろう。この年季を感じさせる佇まいは昨日や今日の開店では無理だな、相当長く営っているに違いないと勝手に思い込んでいた。が、2017年の開店だというではないか。7年、8年でこの味のある空気が醸し出せるのだ。これは余程のプロの飲み手が足繁く通いこの店を育ててきたに違いないと思った。

店の前であれやこれやと思っていたら中から客が出てきた。タバコを吸いに出てきたものだとばかり思っていたが、入り口の横に置かれたクーラーボックスの中からビールを選んで栓を抜き店内に戻っていった。
〈手前がよくひえています。手前からお取りください〉
クーラーボックスにはそんな説明書きが。どうやら瓶ビールはセルフのようだ。しかも300円(税別)と。冷やされているのは633ml、大瓶だ! 大瓶が300円。まさにサンクチュアリにふさわしい、いや夢の値段と言っていい。何本飲もうが制限なした。ただし正午のオープンから17時までの間だが昼飲みには十分過ぎるだろう。我々はマルエフとキリンラガーを抜いて持ち込んだ。

20人は座れるだろう長いカウンターと6人掛け、4人掛け、2人掛けで30席、あわせて50席という広い店内は開店の正午を少し回ったばかりだったがほぼ満席状態だった。「プロの飲み手」という言葉を使ったが、フラッとひとりで入ってきて、ちょこっとつまんでさっと飲んで、スッと出ていく、しかし毎日来るみたいな常連客を思い描いて言ったのだが、ここはそういう客ではなく結構長っ尻の客が多い。しかもグループでワイワイガヤガヤ楽しんでいる客がほとんどだ。カウンターもひとり客というよりカップルや3人連れで、とにかく賑やかだ。「昼から飲める昭和の居酒屋」だとは聞いていたが、客の雰囲気はそうでもないな。店の設えがそういう空気を醸しているのだろう。

あまりビールを飲む方じゃないが、こう安くてはビールをということになる。肴もビールにあうものになる。とりあえずはここの名物ということで黒どーふ(肉どうふ670円)と蒸し豚キムチ(470円)を注文する。黒どーふは肉の量が半端ではなかった。それは蒸し豚も同じだ。最近はピンチョスなどというものが流行り、ひと口サイズじゃあないかという肴が出てくることも少なくない。だがここはそんな心配はないようだ。しかも味もなかなかだ。蒸し豚キムチは添えられたキムチ、辛味噌がいい。それだけでもビールがすすむ。

黒どーふ。この肉の多さを見よ

蒸し豚キムチ。ボリュームたっぷりだ

酒盗ポテサラ(430円)が目にとまった。これは単にポテサラに酒盗を乗せたり混ぜたりしたものではなかった。どういう工夫がされているのか酔った頭ではわからないが、間違いなく酒がすすむ。他にも冷奴酒盗(380円)、酒盗キャベツ(390円)と酒盗を使った肴がある。我々はさらにキリン一番搾りとカモのタタキ(590円)を追加した。こういう酒呑みを唸らせるような種類豊富な肴がプロの飲み手が集う昭和の酒場という雰囲気をより色濃く醸し出しているのかもしれない。

酒盗ポテサラ

カモのタタキ

さて会計だが〆て税込4130円と5000円を超えなかった。昼飲みにはちょうどいい頃合い、かな。しかし大旦那という店名、これはこの店を営っている経営者が太っ腹の大旦那だという意味かもしれないな。ビール大瓶300円には恐れ入った。

ビールは空き瓶の本数で計算される

ちょっと気になる「スタッフ応援ドリンク」と「あらゆる心配は酒で減少する」の短冊

大旦那天満本店
大阪市北区天神橋5-7-3
050-5593-6024

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