魚屋に毛の生えたような!?

魚屋に毛の生えたようなお店 京都つりや@三条食彩ろおじ, 京都市中京区

三条堺町のイノダコーヒー本店。その向かいに「三条食彩ろおじ」はある。京都人は路地を「ろおじ」と発音する。小さな路地で、すべてが飲食店だ。一つひとつの店は小さい。「魚屋に毛の生えたようなお店京都つりや」は奥から3軒目だ。間口は1間半ほど奥行きは2間あるかどうか。2階もあるが、上がってはいないのでどのくらいの広さがありどういう構造になっているかはわからない。1階はカウンターだけで6席のみ。店名はやたら長いのに店は小体、小さい、可愛い……。そんな形容がぴったりなのだ。

「月火の定休日はもちろん釣り!」と笑う大将

だが、ふと思う。我々はこの小体な店で数時間を飲んで過ごすだけだが、かつては何某かの家族の暮らしの場、あるいは仕事の場であったはずだ。この小さな空間での慎ましやかな暮らしの風景を思い浮かべずにはいられない。そういう空気の中でうまい魚と酒を楽しめるのだ。京都の路地長屋ならではの楽しみ方だと言えなくはないな。

すぐ満席になる1階カウンター席

席数の少なさを考えると飛び込みというのは無理だろう。手間でも予約を入れておくべきだ。ということで、我々はその夜問題なくカウンターの2席を占めた。最初に出てきたのがあら炊きだ。注文した覚えはない。
「お通しです!」

お通しのあら炊き

カウンターの向こうで大将が笑った。聞けばこの店の売りは大将自身が釣ってきた魚だという。なるほど、店のあちこちにロッドや釣具が飾るように置かれている。海から直接届いた正真正銘の産地直送だ。それだけで美味く感じるというのは言い過ぎだろうか。大将の釣果だけではなく全国の港に上がった上質の魚が仕入れられている

しめ鯖。まるで刺身だ

好物の鯖をしめ鯖(880円)で注文した。出てきたしめ鯖を見て驚いた。ほとんど生の刺身だ。どうだろう1分ほど酢をくぐらせただけではないだろうか。海の側ならまだしも京都でもこんなに新鮮な鯖が楽しめるのだ。これも大将流産地直送のおかげかもしれない。
さらに海鮮ユッケ(680円)、キスの天ぷら(780円)、枝豆ととうもろこしのかき揚げ(480円)、名古屋コーチン白肝たれ焼き(680円)と進んだ。当然酒も進むわけである。料理に合う日本酒が取り揃えられている。何を飲むべきか……、それは大将に委ねるのがいいだろう。魚好きにも酒好きにもうれしい限りだろう。それだけではない。魚以外に鶏、豚、牛さまざまなメニューが揃っている。

炊きたての湯気までうまそうだ。釜めし(ホタテ飯)

そして〆だ。ここは釜飯がいいと聞いた。我々はホタテの釜飯を注文。こいつは炊き上がるまで少々時間がかかるので、〆にかかる頃合いを見計らって注文するのがいいだろう。炊き上がりの写真を見ていただきたい。この湯気だけでもうまそうだろう? たしかにうまいんだこれが。これで830円はリーズナブルと言うには安すぎるだろう。

おこげも美味い

身体中を満足にして店を出た。小さな路地のはずが妙に広く感じられた。それも美味い肴と料理に出会えたからだろう。幸せな気分とゆとりがその空間を広く思わせてくれたのだ。かつてここで暮らした人たちはどうだったのだろう。
「住めば都」という言葉には条件がある。「そこで幸せならば」だ。この狭いろおじは幸せになるには十分な場所だ。事実私が幸せになったのだから。

海鮮ユッケ

キスの天ぷら

枝豆ととうもろこしのかき揚げ

名古屋コーチン白肝たれ焼き

魚屋に毛の生えたようなお店 京都つりや@三条食彩ろおじ, 京都市中京区
京都市中京区道祐町135-1 三条食彩ろおじ
定休日 月・火
価格は店舗にてご確認ください

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